20240221150711 極、零点とフィルタの特性
極、零点 一般的な話
一般にフィルタ(というか古典制御の伝達関数)は、極と零点をつかって、以下のように書ける。 極、というのは分母が0になるような のことで、 零点、というのは分子が0になるような のこと。
(1)のように分子、分母を変形して、解ける形式にした時の、 z1, z2, … が零点で、 p1,p2, … が極。
任意の複素平面上の点における振幅特性は、(1)式の絶対値なので、
と表せる。
位相も知りたい。 は、(1)式を極座標形式に変換して
とも表せる。 rと 、 は、これのスライド2参照。極や零点とqとの偏角。 Lecture%209%20-%20Poles%20Zeros%20&%20Filters.pdf
位相は角度だけわかればいいので、
この式がどんなことを表しているか? というと、(2)の式でわかるように、
- 零点では振幅が0になる。その付近でも小きくなる。
- 極では(零点が0でなければ)振幅が∞になる。その付近でも大きくなる。
- 極の影響で位相が遅れる。
- 零点の影響で位相が進む。
周波数特性
周波数特性を気にしたい場合、 上記の点として、 を、が0から まで移動した時の振幅と位相を求めれば良い。
どうしてか? ラプラス変換のsは複素数で、実部と虚部がある。 と書ける。 ラプラス変換の は と分解できる。
この というのはオイラーの公式で、複素平面上の単位円を反時計回りに回転する関数。回転の速さ(周波数)は 。 だから周波数特性とは、「周波数 が0から まで移動した時の振幅と位相」になる。ここで、 とすることでリアルな周波数にできる。
の方は何かというと、 が0以下であれば の振動が収束するような関数、 が0以上であれば の周波数の信号が発散するような関数となる。
ラプラス変換は、「収束したり発散したりする、振動波形の全可能性をシステムに入力した場合の特性をドバッと求める計算」と考えることができる。
2次の伝達関数の場合の例
最初に出てきた(1)式は2次の場合には一般にこうなる。
分子、分母を で割ると
ここで、
を導入して分母を整理すると、
こうなる。 分母のsの項がわかりにくいけど、
とおいて、Qについて求めると、導入したQになる。(4)の式が制御工学とかでよく出てくる2次の標準形という。微妙に違う場合もある。たとえば 2次遅れ系のインパルス応答・ステップ応答。特性と使い方を解説!。まあだいたい同じ。
分子の次数による挙動の違い
最初のところに書いたように、伝達関数は
- 零点では振幅が0になる。その付近でも小きくなる。
- 極では(零点が0でなければ)振幅が∞になる。その付近でも大きくなる。
という動きをする。周波数特性は上記のように、「 を、が0から まで移動した時の振幅と位相」なので、その範囲を動いた時の、「極と零点の綱引きの結果」みたいなものになっている。
今検討している2次の伝達関数で、分母は共通していて、分子の次数を変えて、どのような挙動になるかを考えてみる。伝達関数の分子にsがあるということは、系に微分要素があることを意味する。微分回路は電子回路では直列のCなど、ハイパスの要素となる。分子のsの有無、存在する場合の次数によって、フィルタの挙動は基本的に3つに分類できる。
が無い: ローパスフィルタ
分母のみの挙動となる。
- 低域( が小さい) では分母は に近い定数
- が大きくなると分母は0に近づく という挙動になる。
: ハイパスフィルタ
- 低域 0のとき、分子が0
- 高域 分母、分子両方の の項が支配的になるので定数
: バンドパスフィルタ
- 低域 分子が0
- 途中 0以外の値
- 分母の が支配的になるので0
それ以外の場合も考えられるが、とりあえずこれで state variable filterの動作原理 の理解はできる。