20240930141517 トランジスタ、MOSFETを使った電源リップルフィルター
何?
電源の「リップルフィルター/リプルフィルター」 として、以下みたいな回路が書いてある場合がある。これは何だ?
これはCapacitance Multiplierという回路。日本語訳は無い。
ざっくり、何をしているか?
トランジスタが無く、Voutがベースがあった所に直結していると、こんな感じになる。
この回路の時定数は、求め方が自分には謎だけど、下記を参照にすると、RC並列回路の過渡現象(直流回路)│電気の神髄 RとRLOADが並列になっているという計算をすればよくて、
となる。つまりカットオフ周波数は [Hz]
となる。
ここで、トランジスタを追加、最初の図とはちょっと違うが、こんな風になる。
この場合、 とすると、 R2に流れる電流はベースに流れる電流の 倍になっている。いいかえると、先程のトランジスタが無い場合に、ベースの部分に流れていた電流のうち、RLOADに流れていた分は、トランジスタが入ることによって に減少して見える。電流が 減少するということは、電圧が一定なら抵抗値(厳密にはインピーダンス)が 倍になったといいかえることもできる。つまり、RLOADが になったとみなすことができる。
この場合、時定数は となり、カットオフ周波数は [Hz]
と、 同じ部品を使った場合、低い周波数にすることができる。リプルノイズを取り除きたい場合は周波数が低くなった方がよいので、この回路方式を使ってリプルを除去したりする。
さらに、R1→C1の経路には電流がそれほど流れないため、小さい部品を使える。なんと、すごい。
(個人の感想) Multiplyされているのは負荷のRLOADではないのか・・・? なぜCapacitance Multiplierという名前になったのだろう。
シミュレーション
こんな回路を作り、試してみた。
周波数特性がこちら。トランジスタ追加の方は 3[Hz]
!くらいのところでカットオフしている。
ナシの方は108[Hz]
くらい、しかも電圧降下が大きすぎて電源として使用できない。
この記事のTODO
- Cと並列に抵抗を入れる場合があるのはなぜ?
- FETだとどうなるのか?
- オペアンプだとどうなるのか?
Refs.
- BJT filters and capacitance multipliers - YouTube これがわかりやすいかもしれない
- EEVBlog #1116 - How to Remove Power Supply Ripple - YouTube サックリした説明として分かりやすい。肝心のMultipilerの部分は「説明がむずい」で省略されている。
- What does this transistor circuit do? - Electrical Engineering Stack Exchange これがわかりやすかった。
- The Capacitance Multiplier | audioXpress 等価回路を利用した、正確な説明だと思う。肝心な所の”Knowing that..”という省略、、その部分の式の画像がおかしい。大文字と小文字がまざっていてめちゃくちゃ、最後の重要な計算が省略されていて追跡不能、など色々あって直接参考にすることはできなかった。
- Capacitance Multiplier Power Supply Filter 実用的な回路のバリエーション色々。MOSFETはイマイチ、とのこと。
- Electrical Engineering - The capacitance multiplier revisited こちらも色々な応用
- Capacitance Multiplier | PDF | Amplifier | Operational Amplifier